うま味を知る

うま味を知る
目 的 いろいろな食材のうま味を体験して
味の特徴を理解します。
試食試飲に
用意するもの
  • ・色別のシールをつけたミニカップ(容量50~60㎖)
     透明なプラカップが最適(紙のミニカップでも可)
  • ・くちすすぎ用のお水
    ・おしぼり ・ティッシュペーパー

*当センターでは識別のためにカラーシールを使用しています。

プチトマト、チーズの試食プレート

プチトマト、チーズの
試食プレート

だしの試飲プレート

だしの試飲プレート

プチトマト

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム

 プチトマトは季節を問わず一年中出回っていて一粒でうま味が体験できる、とても便利で優れた”うま味体験食材”です。*

  • へたを取り、1粒を口の中に入れます。そして約30回噛んで舌の上でゆっくりと味の変化を感じてみましょう。
  • 最初に酸味、甘味を感じ、トマト特有の青臭さも感じたと思います。
  • そして30回噛み終わった後、口の中に何か残っている味はありませんか? それがうま味です。プチトマトのうま味成分はグルタミン酸です。唾液がまだ出ていると思います。うま味にはこの唾液の分泌を促す作用もあります。
  • 多数の方を対象にプチトマトでうま味体験をする場合、必ず事前に味を確かめてください。時期や産地により、味全体が水っぽく、うま味が弱い場合には別の産地のものを求めることをお勧めします
  • ドライトマトやトマトペースト(無塩)でも体験できます。

プチトマト

プチトマト

プチトマト

パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム

 イタリアで製造される超硬質(ハードタイプ)のチーズです。熟成期間が24か月や36か月の長いものを選びます。

  • パルミジャーノ・レッジャーノは、すりおろして粉チーズとして使うことも多いですが、うま味の体験では薄くスライスしたものを使います。
  • 舌の中央にそっとのせてみましょう。
  • 強いチーズ独特の風味がありますが、ゆっくりと噛むうちにその風味が弱まり、最後に口の中に残った味がうま味です。

パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)

生ハム

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム

 イタリアパルマ地方のプロシュートやスペイン産のハモン・セラーノ等、豚肉を塩漬し1~2年もの長期間熟成した燻煙していないタイプを選びます。

  • 塩味が強いので少しだけ(2㎝×2㎝程度)口に含み良く味わってみましょう。
  • 後味に強いうま味が感じられます。
  • 生ハムの原料の豚肉にはイノシン酸ナトリウムが多く含まれていますが、長期間の熟成により酵素の作用でほとんどなくなってしまいます。
  • 一方、別の酵素の働きでタンパク質がアミノ酸に分解され、熟成に伴いうま味成分のグルタミン酸が増えてきます。

生ハム

熟成度の異なるチーズのうま味比較

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム

熟成度の異なるチーズのうま味比較

 原料、製造者が同じで熟成期間が短いもの(3~6か月)と熟成期間の長いもの(12~18か月以上)を使って比較します。

 チェダーチーズ、コンテ、ミモレット等のセミハードタイプが熟成期間の異なるものを入手しやすいです。

  • スライスした熟成期間の短いチーズを半分ほどよく噛んで味わってみましょう。
  • 水をひと口飲み、口の中をすすぎます。
  • 次にスライスした熟成期間の長いチーズを同じように味わってみましょう。

 いかがですか。

 熟成期間の長いチーズは水分も減っていてやや硬く、塩味も少し強く感じられ、チーズ特有の風味も強くなり、複雑な味に変化していると思います。そして後味に感じるうま味も強くなっていませんか。分かりにくいようでしたらもう一度熟成期間の短い方のチーズを味わってみて、味の違いを確かめてみてください。

チーズの中に含まれているタンパク質が熟成することによってアミノ酸に分解され、うま味成分のグルタミン酸も増えていきます。

熟成度の異なるチーズのうま味比較

だし

次にだしのうま味体験の方法をご紹介します。

昆布だし

昆布だし

うま味成分
グルタミン酸ナトリウム

 昆布は北海道を中心に東北地方の一部にかけて収穫されますが、産地によって形状や味の質、うま味の強さが異なります。昆布はうま味成分であるグルタミン酸ナトリウムを最も多く含む食材のひとつです。
 うま味インフォメーションセンターでは水出し法、煮だし法の何れかの方法で昆布だしを作ります。

水出し法

材料

  • ・昆布 20g(2%)
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

作り方

ボールやボトル等の容器に昆布と水を入れ、一晩冷蔵庫に入れて昆布のエキスを抽出します。

*うま味の強い昆布だしを簡単に作ることが出来ます。

*昆布特有の磯臭い風味がやや感じられますので人によっては好き嫌いが分かれることもあるようです。

昆布だし

煮だし法

 うま味インフォメーションセンターでは、以下の方法でうま味体験用の昆布だしを作っています。
 この方法では、だし中のグルタミン酸量が 30%ほど増すと言われています。

材料

  • ・昆布 20g(2%)
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

作り方

  • 1. 昆布を水に漬ける。
  • 2. 60℃で1時間加熱する。
  • 3. 昆布を取りだす。

昆布だし

*途中、温度が上がり過ぎないように注意。ぬめりが出てしまいます。

*このだしの取り方は、利尻昆布が適しています。

保温ポットを使用

うま味体験用の昆布だしを保温ポットで作ることができます

材料

  • ・昆布 20g(2%)
  • ・65℃の湯 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

作り方

  • 1. ポットに昆布を入れる。
  • 2. 約65℃のお湯をポットに注ぐ。
    (昆布と合わせると約60℃になる)
  • 3. 1時間そのまま置いておく
  • 4. 昆布を取りだす。

昆布だし

味わい方

  • 試飲カップに 25~30㎖ のだしを分ける。
  • のだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • 残りのだしを口に含み、と同様に味わう。

かつおだし

かつおだし

うま味成分
イノシン酸ナトリウム

 かつお節は、原料のカツオが同じでも魚の部位(背側・腹側・半身)、血合いの有無、製造工程中のカビ付けの有無等によりそれぞれのだしの香りと味わいが異なります。また、削り節の厚みでも長時間煮出す厚削りと薄く削り表面積を大きくして短時間でだしを取るうす削りがあります。

 うま味インフォメーションセンターでは、うま味がよりわかり易いように生臭みや雑味の弱い血合い抜きの本枯れ節のうす削りを用いてより多くのイノシン酸が得られるようにしています。 ひと口、口に含み舌全体にだしを広げるように味わってみましょう。かつお節の香り、やや酸味も感じられ、その後にうっすらと広がる味がうま味です。

材料

  • ・削り節 30g(3%)
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

材料

  • ・削り節 30g(3%)
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

作り方

  • 1. 水を鍋に入れ沸騰させる。
  • 2. 火を止め、約85℃になるまで待ってからかつお節を一気に入れる。
  • 3. かつお節が鍋底に沈むまで待つ。
  • 4. ザルに布巾かペーパータオルを敷いて濾す。
  • 5. 60℃程度に冷めたら試飲カップに注ぎ分ける。

昆布だし

*濾す際はザル2つの間にペーパータオルを挟んでおきましょう。だし汁にかつお節が落ちることなく、透明のだしが作れます。

*保温用のポットを活用するとサンプル提供の際に適温で提示できます。

味わい方

  • 試飲カップに 25~30㎖ のだしを分ける。
  • のだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • 残りのだしを口に含み、と同様に味わう。

煮干しだし

煮干しだし

うま味成分
イノシン酸ナトリウム

  いろいろな素材のうま味を体験するのに煮干しのだしも試飲してみましょう。 うま味体験用に魚臭が少なく、うま味を感じやすいように水出ししただしを一度あたためています。 魚から抽出されたイノシン酸だけではなく、アミノ酸も含まれ、強いうま味が感じられます。

材料

  • ・片口いわし 50g(頭と腹を取り除き約30g)
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

材料

  • ・片口いわし 50g(頭と腹を取り除き約30g)
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

作り方

  • 1. 煮干しの頭と腹を取り除き半身に開く。
  • 2. 一晩冷蔵庫内で水に漬ける。
  • 3. ザルの上に布巾かペーパータオルを敷き、静かに濾す。
  • 4. 鍋で沸騰直前まで温める。
  • 5. 60℃程度まで冷めたら試飲カップに注ぎ分ける。

煮干しだし

昆布だし

*濾す際はザル2つの間にペーパータオルを挟んでおきましょう。だし汁ににぼしが落ちることなく、透明のだしが作れます。

*保温用のポットを活用するとサンプル提供の際に適温で提示できます。

味わい方

  • 試飲カップに 25~30㎖ のだしを分ける。
  • のだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • 残りのだしを口に含み、と同様に味わう。

干し椎茸だし

干し椎茸だし

うま味成分
グアニル酸ナトリウム

 精進料理のだしに欠かせない干し椎茸のだしのうま味を味わってみましょう。干し椎茸のうま味成分はグルタミン酸とグアニル酸ですが、以下の方法は、グアニル酸が多く得られるような作り方を採用しています。干し椎茸にはグアニル酸を作り出す酵素と分解する酵素の両方が含まれており、それぞれの酵素の働く温度帯が異なることを利用しています。うま味インフォメーションセンターでは、水出ししたものとさらに煮出したものでうま味の強さの違いを体感して頂いています。 水出しは、うま味以外の味も強く、エグ味・苦味等も感じられると思います。同じだしを加熱するとそのエグ味が弱くなり、うま味が増します。

材料

  • ・干し椎茸 30g
  • ・水 1.5ℓ (0.5ℓ+1ℓ)

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

材料

  • ・干し椎茸 30g
  • ・水 1.5ℓ (0.5ℓ+1ℓ)

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

作り方

  • 1. 0.5ℓの水に干し椎茸を浸し冷蔵庫内で1時間漬ける。
  • 2. その水を一度捨てて1ℓの水を加え一晩冷蔵庫内で水に漬ける。
     (低温であることが重要)
  • 3. 半量Aを室温に戻す。
  • 4. 半量Bを鍋に入れ、中火~強火で70℃以上まで温める。
     (すみやかに60℃以上に加熱)
  • 5. 火力を調整し、5分程度微沸騰の後に火を消す。
  • 6. ザルに布巾かペーパータオルを敷いて濾す。
  • 7. Bが室温程度に冷めたら試飲カップに注ぎ分ける。

干し椎茸だし

干し椎茸だし

味わい方

  • 試飲カップに 25~30㎖ のだしを分ける。(温度に差が無いように留意する)
  • のだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • ここで水を少量飲み、口をすすぐ。
  • 次にのだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • とでうま味の強さの違いを体験する。
  • 残りのだしをの手順で繰り返し味わい、味の確認を行う。

野菜ブイヨン

野菜ブイヨン

うま味成分
グルタミン酸ナトリウム

 野菜だけで調理した野菜ブイヨンを紹介します。 この野菜ブイヨンはうま味の体験用に特別に開発したものでうま味の成分はグルタミン酸ナトリウムです。 低温で短い調理時間加熱し、低塩が特徴です。

材料

  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

  • ・ブロッコリー(茎のみ)40g
  • ・セロリ(茎のみ)40g
  • ・マッシュルーム 40g
  • ・玉ねぎ 15g
  • ・にんじん 15g
  • ・パセリ(茎のみ)5g
  • ・塩 0.3%(出来上がり重量の0.3%)

材料

  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

  • ・ブロッコリー(茎のみ) 40g
  • ・セロリ(茎のみ) 40g
  • ・マッシュルーム 40g
  • ・玉ねぎ 15g
  • ・にんじん 15g
  • ・パセリ(茎のみ) 5g
  • ・セロリ(茎のみ) 40g
  • ・塩 0.3%(出来上がり重量の0.3%)

作り方

  • 1. 野菜類は全て1㎝角程度に切る。
  • 2. 分量の水に全ての野菜を入れて弱火で加熱し、沸騰させないよう80~85℃程度を20分ほど保って加熱する。(1ℓの場合は加熱開始から合計30分)
  • 3. ザルに布巾かキッチンペーパーをしき、濾す。
  • 4. 収量を量る。
  • 5. 0.3%の塩で味付ける。
  • 6. 60℃程度まで冷めたら試飲カップに注ぎ分ける。

野菜ブイヨン

*ブロッコリーの蕾、セロリ・パセリの葉は、風味が強く、ブイヨンに苦味が出るので茎のみを使います。

保温ポットを使用

うま味体験用の野菜ブイヨンを保温ポットで作ることができます。

材料

  • ・90℃の湯 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

  • ・ブロッコリー(茎のみ)40g
  • ・セロリ(茎のみ)40g
  • ・マッシュルーム 40g
  • ・玉ねぎ 15gℓ
  • ・にんじん 15g
  • ・パセリ(茎のみ)5g
  • ・塩0.3%
    (出来上がり重量の0.3%)

作り方

  • 1. 野菜類は全て1㎝角程度に切る。
  • 2. カットした野菜をポットに入れる。
  • 3. 約90℃のお湯をポットに注ぐ。(野菜と合わせると約80~85℃になる)
  • 4. 30分間そのまま置いておく。
  • 5. ザルに布巾かキッチンペーパーをしき、濾す。
  • 6. 収量を量る。
  • 7. 0.3%の塩で味付ける。
  • 8. 60℃程度まで冷めたら試飲カップに注ぎ分ける。

野菜ブイヨン

味わい方

  • 試飲カップに 25~30㎖ のだしを分ける。
  • のだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • 残りのだしを口に含み、と同様に味わう。

チキンブイヨン

チキンブイヨン

うま味成分
イノシン酸ナトリウム

 鶏ムネ肉と水とで作ったシンプルなブイヨンです。
 このチキンブイヨンのうま味の主な成分はイノシン酸ナトリウムです。出来上がったチキンブイヨンに少量の食塩(0.3%)を加えます。

材料

  • ・鶏ムネ肉のひき肉 200g
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

  • ・食塩 0.3%

材料

  • ・鶏ムネ肉のひき肉 200g
  • ・水 1ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

  • ・食塩 0.3%

作り方

  • 1. 鍋に水と鶏ムネ肉のひき肉を入れ、肉を分散させる
  • 2. 中火にかけ、鶏肉に火が通るまで十分に加熱する。
  • 3. ザルに布巾かペーパータオルをしき、アクごと濾す。
  • 4. だしの量を量り、0.3%の食塩を加える。

チキンブイヨン

味わい方

  • 試飲カップに 25~30㎖ のだしを分ける。
  • のだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • 残りのだしを口に含み、と同様に味わう。

チキンブイヨン

うま味成分 グルタミン酸ナトリウム
イノシン酸ナトリウム
グアニル酸ナトリウム

 昆布やかつお節がなくてもうま味の相乗効果を活用したうま味リッチなおいしいだしを作れます。 このだしを活用してお吸い物、茶碗蒸し等も作ることができます。

(「うま味レクチャーin福岡」のレシピをご参照ください。本レシピーは、京都の老舗料亭のご主人村田吉弘氏にご提供いただきました。)

材料

  • ・ドライトマト 10g
  • ・ドライモリーユ茸 10g
  • ・鶏ムネ肉(皮なし)200g
  • ・塩 4g(鶏肉重量の2%)
  • ・水 2ℓ

*当センターではミネラル分の少ない軟水を使用しています。

チキンブイヨン

作り方

  • 1. 水にドライトマト、ドライモリーユ茸を入れ、冷蔵庫で一晩おく。
  • 2. 鶏ムネ肉の表面の脂を取り除き、フードプロセッサーでひき肉にし、塩をして1時間置く。
  • 3. を入れ中火で鶏肉に火が通るまで加熱する。
  • 4. 濾す。

チキンブイヨン

味わい方

  • 試飲カップに 25~30㎖ のだしを分ける。
  • 1のだしを半分ほど口に含み舌全体にだしが広がるように味わう。
  • 残りのだしを口に含み、と同様に味わう。