食材別うま味情報 海産物

イカの塩辛は日本の伝統的な醗酵食品の一つで塩味が強く、うま味があり、ねっとりとした食感と独特の風味があり、一般に酒の肴やごはんにのせて食べます。
一般的なイカの塩辛(あか)の作り方は、生イカの皮を剥かずに筒切りにし、肝(キモ)を入れ、塩を10~20%加えてよく混ぜ、密閉し、常温で1ヶ月ほど熟成させます。肝の中にある酵素の働きによりイカ肉のタンパク質を自己消化(=熟成)し、遊離アミノ酸が増し、豊かな味わいとなります。
この高い塩分濃度でも酵素は働き、熟成(自己消化)が進みます。

また、この塩分濃度があるので常温でも腐敗しません。昨今の低塩化の傾向を受け、低塩品は常温では腐敗の恐れが生じるため、水分活性の調整等を行い要冷蔵品とすることで品質を保っています。

イカ塩辛の熟成中の遊離アミノ酸変化を図に示します。

グラフ中、タウリン以外のアミノ酸が熟成によって増加しており、熟成期間約1ヶ月(33日)の増加率は、続く約1か月(34日)の増加率よりも非常に大きいです。うま味成分のグルタミン酸は33日で6.5倍に、67日で7.4倍に増加しています。
イカの塩辛はごはんにのせて食べるだけでなく、アンチョビのかわりにパスタに加えたり汁物の隠し味に用いたりと調味料としての使い方もされるようになりました。

日本発の魚介類のうま味を是非活用してみてください。

(参考:「塩辛・くさや・かつお節」藤井建夫著(恒星社厚生閣))

イカの塩辛の遊離アミノ酸の変化

イカの塩辛の遊離アミノ酸の変化