「うま味」と「旨み」は
同音意義語
日本人の多くは、「うま味」と「旨み(旨味)」の使い方を間違っています。うま味と旨みは、同音異義語です。同音異義語は、発音が同じで、意味の違う2つの単語のことです。
例えば、「伯母と叔母」、「魚介類と魚貝類」、「医師と意志」、「性格と正確」、「柿と牡蠣」、「うま味と旨み(旨味)」などです。「魚介類」は水産動物の総称ですが、「魚貝類」は文字どおり魚類と貝類を指す言葉です。
同音意義語
「うまみ」には二つの
違った意味がある
「うま味」と「旨み」には、どのような意味の違いがあるのでしょうか。
「うま味」は、甘味、苦味、酸味、塩味といった基本の味を指す言葉です。一方、「旨み」は食べ物が美味しいことを意味する言葉で、「旨い」の名詞形で、「うま味」とは全く異なる意味を持ちます。「うま味」は、英語で“UMAMI” と、「旨み」は 英語で“Deliciousness” あるいは“Palatability”と表現されるため、西欧の人達が混同することはありません。日本人だけが、間違って使っているのです。
うま味物質は日本人による
大発見!
主なうま味物質
「うま味」は、このようなうま味物質から感じる味です。いずれのうま味物質も日本人によって発見されました。調理する時に、調味料であるうま味物質を使うと、お料理がおいしくなるので、うま味と旨みは区別されずに使われていましたが、2002年に、うま味物質であるグルタミン酸と結合する「うま味受容体タンパク質」が、舌から発見されたことにより、「うま味」と「旨み」が同音異義語になりました。
うま味物質(グルタミン酸
ナトリウム)の
添加量とおいしさ(旨
み)との関係
うま味物質は、香りがないので、単独では、決しておいしいとは言えません。うま味物質は、塩や砂糖と同様、調味料です。お味噌汁に、うま味物質を添加する場合、0.3~0.5%の濃度で添加するとお味噌汁のおいしさ(旨み)が強くなりますが、それ以上の量のうま味物質を添加するとおいしさ(旨み)が急激に低下します。これは、塩を入れすぎると「しょっぱ過ぎる」、砂糖を入れすぎると「甘過ぎる」のように、うま味物質を入れすぎると、うま味だけが強くなり「うま味過ぎる」状態となり、食べ物がおいしくなくなるのです。
Yamaguchi S, Takanashi C.: J. Food Sci. 49(1), 82-85(1984)
適量のうま味物質(グルタミン酸ナトリウム)の添加は
食べ物をおいしくする
うま味過ぎると旨くない!
うま味物質は、食べ物に適量を添加することでおいしくなりますが、入れすぎると食べ物の味わいを台無しにしてしまい、「旨み」は感じられなくなります。