うま味物質はいずれも日本人が発見したこともあり、欧米では長い間うま味の存在を認めませんでした。1970年代までは、うま味あるいはグルタミン酸の味という題で論文を投稿しても、欧米の学術雑誌はことごとく掲載を拒否しました。
このような状況のなかで、うま味を国際的に認知させるために、1982年にうま味研究会を発足させました(図13)。当時のメンバーは、河村洋二郎(阪大、生理学)、鴻巣章二(東大、食品化学)、木村修一(東北大、栄養学)、栗原堅三(北大、分子生理学)でした。
- 1982 Found: Umami Research Association
- 1985 First International Symposium on Umami (Hawaii)
- 1990 2nd International Symposium on Glutamate (Sicily)
- 1993 9th International Symposium on Olfaction and Taste (Sapporo)
- 1997 12th International Symposium on Olfaction and Taste (San Diego)
- 1998 3th International Symposium on Glutamate (Bergamo)
- 2004 14th International Symposium on Olfaction and Taste (Kyoto)
- 2008 100° Anniversary Symposium of Umami Discovery (Tokyo)
- 2008 うま味発見100周年記念公開シンポジウム(東大安田講堂)
- 2008 Umami Summit in the USA (San Francisco)
- 2009 Umami Summit in London
このメンバーを中心に何回か国内でうま味シンポジウムを開催した後、1985年にハワイでうま味国際シンポジウムを開催しました。それ以後、同様な国際シンポジウムを各国で何度も開催しました。嗅覚·味覚国際シンポジウム(ISOT)は、この分野ではもっとも大きな国際会議です。1993年札幌で第9回ISOTが開かれたとき、大会長であった筆者の特権で「うま味セッション」を設けました。以後のISOTでは「うま味セッション」を設けることは慣例となりました。こうした国際会議を続けていくなかで、欧米の研究者もうま味研究に参加してきました。