今月のUmamiMama Says… 2025年1月
2025.01.31
世界中の一流シェフから「UmamiMama“うま味ママ”」の愛称で親しまれている うま味研究者の二宮くみ子博士が語る“ちょっとためになる”うま味のお話「UmamiMama Says…」。UICロンドン発の人気インスタグラム記事です。
先月に続き、昨年11月にうま味ママがバルセロナ大学で登壇した調理科学の国際学会Science and Cooking World Congress (SCWC) 2024のレポート(後編)をお送りします。うま味ママは日本料理アカデミーの才木シェフ、高橋シェフ、中村シェフの3人と共に和食セッションに登壇しています。
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「SCWC2024のハイライトの一つは、“和食に隠された科学を探求する”セッションでした。私たちは白飯、出汁、そして和食に合う白ワインの3つのTastingを行いました。
登壇した才木・中村・高橋シェフはいずれも京都老舗料亭の主人達で、全員がフード・サイエンスの博士号を取得したPhDシェフです。3人は半年以上前からTastingの内容を検討してきました。
「和食で提供される白飯には一切、調味がされません。ピラフやリゾット、パエリアなどに使われる長粒米とは異なり、しっとりした食感が特徴です。出汁、醤油、味噌などのうま味と塩味のある主菜と副菜をシンプルな白飯と一緒に食べることで、和食全体の味の調和とうま味の余韻を楽しみます。」と才木シェフ。ピラフやリゾット、パエリアなどに使われる長粒米とは異なり、日本のうるち米はしっとりした食感が特徴です。試食用には俵型に握った白飯に、醤油漬けのイクラをトッピングし、参加者にイクラのうま味や塩味と白飯のコンビネーションを体験していただきました。
中村シェフは利尻昆布と鰹節で取ったうま味たっぷりの出汁を、味付けをせずに提供。参加者は、まさに出汁とは何かを体験をしました。
そして最後にソムリエの資格を持つ高橋シェフが、博士課程の研究をベースに開発した“和食にあうワイン”の試飲を提供しました。このワインは、ブドウの栽培中に袋をかけて遮光することで、通常のワインよりも鉄分が少なく、魚料理と合わせても魚臭さを感じさせないのが特徴です。出汁の試飲で口の中に鰹の風味が残った状態でワインを試飲して、出汁をベースにした和食とのマッチングを体感。まさに和食に隠されたサイエンスを追究したセッションでした。