うま味インフォメーションセンター

活動報告

米国オーガスタナ大学の学生が来所

2025.01.21

2025年1月21日、米国サウスダコタ州のオーガスタナ大学(Augustana University)の学生12人がうま味インフォメーションセンター(UIC)を訪れました。
彼らは化学・生化学教授のバレット・アイヒラー博士(Dr.Barrett Eichler)のもとで学ぶ学生たちで、今回は和食のサイエンスを探る講座「日本文化の化学~The Chemistry of Japanese Culture」のプログラムの一環としての来所です。

アイヒラー教授の講座は、日本の文化を化学的側面から研究するもの。わさび、酒造りなどの食文化から、藍染めといった日本の化学工業まで、日本文化に内在する化学を広く研究します。研修ツアーでは、東京、京都、大阪、沖縄を巡りました。
「日本で発見され、和食文化で重要な役割を果たすうま味は、文化の中の化学の顕著な例です。」とアイヒラー教授。「グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸がうま味と密接な関わりがあることは知っていますが、具体的にどのように作用しているのか?UICから学生たちに、うま味物質の化学構造やうま味の生化学を教えてください。」

講義をする二宮くみ子博士

教授から依頼を受け、UICオフィスで特別講義「第5の味覚の秘密を解き明かす~Unlocking the Secret of the Fifth Taste」が開かれました。講師を務めたのは、コンサルタントでうま味研究者の二宮くみ子博士です。
学生たちが化学や生化学を専攻していることから、講義はよりサイエンスに踏み込んだ内容としました。通常の講義内容に加えて、3つのうま味物質の化学構造や、リボ核酸からヌクレオチドが生成される仕組みなどを説明したほか、胃腸でもうま味を受容していることなど、最近研究が進められている分野についてもお話しました。

さらに、知識としてうま味を知るだけでなく、うま味を味覚として体感してもらうため、グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸を含む食材を使ったテイスティングセッションも行いました
講義後のQ&Aセッションでは、講義資料の図表の読み方についての質問の他、わさびの辛さは味なのか?といった、今回の来日研修で遭遇した和食材に関連した質問もありました。

アイヒラー教授からの帰国後のメールでは、学生達は今回の来日の中で最も科学的なものを経験し、心から楽しむことができました、とコメントいただきました。
アメリカの大学で学ぶ皆さんが、一見特異な日本の食文化から化学と言う普遍の真理を探ろうとする様子に、私たちも感銘を受けました。