うま味インフォメーションセンター

活動報告

東北大学ワークショップ “Health and Well-Being”参加

2024.09.17

東北大学は世界トップクラスの大学を目指す10兆円ファンドの運営を委託された日本で最初の大学です。本ファンドで運営されるプログラムの一環として、うま味インフォメーションセンター(UIC)の坂井信之副理事長(東北大学教授)の企画のもと、2024年9月17日から3日間、東北大学片平キャンパスにて、未来の食をデザインするワークショップ、”Health and Well-Being”(東北創造フォーラム2024)が開催されました。本ワークショップには、UICの西村理事長、畝山理事、木戸理事も招待され参加することができました。

このワークショップ初日のイベントはSSBW(Sensory Science for Better Well-being)とのコラボレーションで行われ、日本人の他にタイを中心とした東南アジア諸国の研究者ら、計110名が参加しました。坂井教授らの基調講演(日本の栄養教育政策/和食と塩分摂取過多の背後にあるものへの心理学的アプローチなど)に続き、健康とウェルビーイング(幸福)における食感覚研究の重要性について様々な立場の研究者の講演と討論会が行われました。討論会では、西村理事長も登壇し、健康な食事に向けては、幼児からの食育、そしてナッジ(望ましい行動変容に繋がるアプローチ)の採用による行動変容が大切で、うま味のウェルビーイング価値への重要性を唱えました。加えて、うま味受容体発見の歴史から、うま味を用いたおいしい減塩などの知見を引用し、うま味はおいしさを通じて、私たちの健康とウェルビーイングの構成要素として既に大きな役割を演じていると指摘しました。

(左)総合司会坂井副理事長と研究者の討論会。(右)「うま味物質でおいしく減塩、私たちの健康とウェルビーイングにも繋がります」(西村理事長・写真左側)

ワークショップの後半は、本場の料理人による、タイの伝統的なスープ(トムヤムクン)の料理デモと試食体験を通じて、食感覚がもたらすおいしさという幸福感、すなわちウェルビーイング価値を実感しました。3種の異なる味わいのトムヤムクン(シェフオリジナル、2つめはこれにうま味物質加えたトムヤムクン、3つ目はうま味物質とコク味物質を加えたトムヤムクン)について、参加者は各自のスマートフォンから、味わいに関するコメントや嗜好度を入力しました。入力後、中身についてタネ明かしがされ、一番気に入ったトムヤムクンに手を挙げてもらったところ、その嗜好は人によって異なることを確認し合いました。そしてトムヤムクンのデモを通じて、参加者はコクやうま味の大切さを改めて気づくことができたと思います。

本場の料理人が調理したトムヤムクンでうま味やコクを実感

トムヤムクン(Tom Yum Kung)はユネスコの無形文化遺産リストに掲載されています。
UICでは、タイ初の食品関連無形文化遺産に正式に登録されることを期待しつつ、この伝統的なスープにうま味やコクがどのように関わっているのかを追究していきたいと思います。

SSBW:Network for Sensory Science for Better Well-being. タイとアセアンにおいて、最新の感覚科学(*)の知見を共有し、健康で持続可能な食環境の創出を目指すことで、社会的なウェルビーイングを高めることを目的とした研究者と民間企業とのネットワーク。

**Sensory Science:感覚科学。五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を通じて、体の外の世界を私たちがどのように認識しているのか、感知した情報が嗜好や感情にどのように影響するのかを研究する科学分野。

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