うま味インフォメーションセンター

活動報告

うま味の未来を考えるシンポジウム2022~後編

2022.03.16

2022年3月16日にオンラインにて開催された「うま味の未来を考えるシンポジウム2022」の報告 後編です。シンポジウムでは、第一線で活躍する料理人、料理研究家、研究者、生産者らが垣根を越えて集い、「うま味」について語り合いました。

セッション3:「発酵で広がるうま味の世界」
パネリスト(敬称略) 
高橋万太郎 (コーディネーター:醤油販売「職人醤油.com」主催)
北本勝ひこ博士(日本薬科大学特任教授、発酵醸造学者)
河野尚基(酢・みそ・醤油生産者。河野酢味噌製造工場五代目)
三角祐亮(みりん生産者。株式会社角谷文治郎商店)

(左上から時計回りに)高橋万太郎さん、北本勝ひこ博士、三角祐亮さん、河野尚基さん

和食にうま味をもたらす様々な発酵調味料。
その生産に欠かせない麹菌は、日本醸造学会が定めた「国菌」でもあります。
麹菌を使った発酵は世界的にも珍しいもので、日本の生産者は伝統の味を守るために、まるで家畜を育てるように大切に麹菌を扱っているそうです。

このセッションでは酢、みそ、しょうゆ、みりんの製造や販売に携わる皆さんが発酵醸造学者と、うま味や麹菌の発酵食品の魅力を語り合いました。

セッション4:「料理を美味しくするうま味の活用」
パネリスト(敬称略): 長田勇久 (コーディネーター:料理人、日本料理「一灯」店主)
岩本光史(料理人:イタリア料理「D o m e n i c a D’oro(ドメニカ・ドーロ)」店主)
青江覚峰(住職:精進料理「暗闇ごはん」代表)
二宮くみ子(うま味研究者 UICコンサルタント)

和食、イタリア料理、精進料理という異なるジャンルの料理人と科学者が集い、それぞれの料理でうま味がどのように活かされているかを話し合いました。
味の余白を意識しながら、淡く繊細な味わいを重ねていく和食の手法、逆に強いうま味をもったベースを作り、そこから弱めていくイタリアン。そして、すべての食材に感謝を込めて、最後まで無駄なく使い切る精進料理 ― 現在のSDGsにも繋がる料理です。科学者からは、それぞれの料理が内包するうま味についての科学的な考察と、世界の料理人のうま味活用の今が語られました。

(左上から時計回りに)長田勇久さん、岩本光史さん、二宮くみ子博士、青江覚峰さん

二宮博士からは、最近では海外の料理人の中から、自分たちに身近な食材で発酵食品を作る人が出始めたという報告がありました。「たとえばコーヒー豆やヘーゼルナッツなどを使ってみそ等の発酵調味料を作る料理人も現れました。」「そうして作った発酵調味料を使うと、長時間煮込まなくても料理にうま味が得られること、しかも塩分を控えても美味しくなることに気づき始めています。うま味や発酵調味料が、日本人の概念を超えた手法で、世界的な存在に育っていると語りました。

300人を超える参加者がうま味の魅力を堪能した「うま味の未来を考えるシンポジウム2022」は次のURLでご視聴いただけます。
https://www.umamiinfo.jp/movie2/ufs/

本記事の前編はこちら https://www.umamiinfo.jp/topics/2022/03/2022.html