にいがた市民大学講座でのうま味講義「和食におけるだし」
2015.08.17
- 日 時 : 平成27年7月24日(金)14:00~16:00
- 場 所 : 新潟市生涯学習センター(クロスパルにいがた)
- 参加者 : にいがた市民大学講座 新潟学コース「和食を知る」受講生111名
- 講 師 : NPO法人うま味インフォメーションセンター 理事 二宮 くみ子
- 報告者 : NPO法人うま味インフォメーションセンター事務局 栗脇美緒
2013年12月、世界の伝統文化などを保護するユネスコの無形文化遺産に「和食」の食文化が認定されました。これを契機に和食への関心が高まっていますが、新潟市教育委員会が主催するにいがた市民大学では、和食の文化的背景について理解を深めると同時に、新潟の地に根付いた和食文化を知り、伝統的な社会慣習として次世代に向けて守り伝えていくことの大切さを考えていくということを趣旨に、講座「和食を知る」を今年度開講しています。6月19日の熊倉功夫氏(静岡文化芸術大学学長)の講座を皮切りに、精進料理、茶懐石、和食の歴史、和食と器など、さまざまな角度から和食の魅力を学ぶ10回シリーズの講座として、定員をはるかに上回る方が申込まれた人気講座です。
7月24日、本講座第五回「和食におけるだし」をテーマに、弊センター二宮くみ子理事が講演を行いました。講演では、グルタミン酸はアミノ酸の一種であること、うま味は五つの基本味の一つであること、約100年前に日本人の池田菊苗博士がうま味を発見したこと、うま味は持続性があり、舌全体に広がるとともに唾液の分泌を促す特長があること等を説明しました。さらに、日本では、昆布や鰹節等の乾燥素材からだしを取るのに対して、海外では、肉や野菜を煮込んでブイヨンや上湯としてだしを取ること、どちらのだしにもグルタミン酸やイノシン酸が豊富に含まれていること、生まれて初めて体験する味の母乳や発酵食品にはグルタミン酸等のアミノ酸が多く含まれていること等をお話ししました。特に、乳児にグルタミン酸を加えた野菜ブイヨンを飲ませた際のにこやかな表情をスライドでお見せしたところ、会場からどよめきが起きました。さらに、先日行われたミラノ万博において、「うま味を知る! 料理は変わる!」をテーマにうま味シンポジウムを開催し、イタリア人のシェフやフードライターへのだしの試飲を通じて、だしの濃さ即ちうま味を調整することで、減塩でもおいしく感じていただく効果があることを体験していただき、好評であったことを報告しました。
続いてのうま味体験では、まず、ミニトマトの試食を行い、講義で説明されたうま味の特徴-舌全体に広がり、持続性があり、唾液の分泌を促す-を実感していただいたのち、一番だしに塩と薄口醤油を加えた吸い地で、だしのうま味を味わっていただきました。最後に新潟特産、塩引き鮭を1年がかりで風乾発酵した鮭の酒浸しで、地元に伝わる伝統食材のうま味を再認識していただきました。
うま味体験に続いての質疑応答では、一番だしのかわりに市販の調味料を用いても同じうま味が味わえるなど日常生活に応用できる説明もあり、参加者の皆様からもご好評をいただきました。
うま味インフォメーションセンターでは、今後もうま味の理解を深めていただくために、様々な機会を通してうま味講義を実施・支援をしてまいります。