うま味インフォメーションセンター

活動報告

日本家政学会第65回大会 ランチョンセミナー 「うま味を知る -今、世界が注目する味覚と機能-」

2013.06.19

日  時 平成25年5月18日(土)12:05~13:20
場 所 昭和女子大学(東京都 世田谷区)
参加者 100名(申込み制)
講  師 NPO法人うま味インフォメーションセンター 理事 二宮 くみ子氏
座  長 味の素株式会社イノベーション研究所 笠松 千夏氏
報告者 NPO法人うま味インフォメーションセンター事務局

日本家政学会(会長 久保田紀久枝氏)第65回大会が5月18日(土)、19日(日)の二日間、昭和女子大学で開催され、弊センターはランチョンセミナー「うま味を知る-今、世界が注目する味覚と機能-」を5月18日に開催いたしました。家政学会として初の試みとなるランチョンセミナーで、同学会の依頼を受け、弊センターの他3団体が二日間に分けてランチョンセミナーを実施いたしました。

セミナーでは、最初にプチトマトの試食によるうま味体験を行いました。座長の笠松千夏氏から「プチトマトをゆっくり30回ほど噛み、舌の上で五感を使って味わってみてください。」という説明があり、参加された皆さまに試食をしていただきました。試食後、笠松氏が「普段、トマトはトマトの味と思って召し上がっていらっしゃると思いますが、このように30回も噛んで、しかも真剣に味わうことはあまりないかもしれませんね。もう口の中にトマトは残っていませんが、何かまだ舌の上にボワーンというような、口の中に広がるような感覚がありませんか。最初に感じた甘味や酸味が消えてもその感覚が残っており、そして、唾液が出ていますね。これがうま味です。」と解説し、ご参加の方々にうま味を体験していただきました。

次に、昨年福岡で開催した「うま味レクチャー in 福岡-うま味を知る!食材を活かす!」のDVDを上映し、弊センターの活動の一部をご紹介いたしました。(上映したDVDはこちらでご覧頂けます。https://www.umamiinfo.jp/movie/

DVD上映に続き、二宮理事によるうま味レクチャーを行いました。
まず、プチトマトの試食時に唾液が分泌されたことを受け、うま味の機能のひとつに唾液の分泌を促す作用があること、その作用を活用し、味覚障害の改善や高齢者の方々に多いドライマウスの症状を緩和し、食生活に留まらず、生活全般の改善にまでつなげられていることについて解説いたしました。 次に代表的なうま味物質であるグルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムの特徴とうま味発見の歴史、うま味を多く含む食材について説明いたしました。
また、うま味による減塩効果について、食塩0.3%を添加した減塩タイプの野菜ブイヨン(通常の野菜ブイヨンは食塩0.7~0.9%)と、それと同じ野菜ブイヨンにグルタミン酸ナトリウム0.1%を添加した2品を試飲して比較し、同じ食塩0.3%の野菜ブイヨンでも、うま味を加えることにより味全体の物足りなさが軽減され、味が調和されておいしくなることを実感し、うま味による減塩効果を体感していただきました。
最後に、今欧米のシェフもうま味(UMAMI)に高い関心を寄せてきており、日本のだし素材だけでなく、その国のうま味が豊富な食材を利用してだしを取ることなどが試されていて、例えばデンマークでは北欧の海藻でだしを取る試みや鹿肉を使った鹿節の研究等の事例を紹介いたしました。

参加された学会会員のほとんどの方々は大学や大学院で教鞭を取られている方で、唾液分泌機能、減塩効果、相乗効果、高齢者の生活改善など、うま味が持つ機能に大変高い関心を寄せられ、本セミナーのうま味体験と講義で、うま味についてよく理解できたと高い評価をいただきました。


うま味インフォメーションセンターでは、今後も様々な機会を通じて、うま味の正確で最新の情報を提供してまいります。

昭和女子大学正門
昭和女子大学正門
会場の様子
会場の様子
会場の様子(右上 座長 笠松千夏氏)
会場の様子(右上 座長 笠松千夏氏)
会場の様子(左上 二宮くみ子氏)
会場の様子(左上 二宮くみ子氏)