うま味インフォメーションセンター

活動報告

OGIRI, DADDAWAそして IRU~アフリカの食材と料理~その豊かなうま味

2012.11.12

日  時 2012年6月13日
場 所 Sheraton Abuja Hotel (アブジャ、ナイジェリア)
主催者 WEST AFRICAN SEASONING CO. LTD (ナイジェリア) , 特定非営利活動法人うま味インフォメーションセンター (日本)
登壇者(講演順) John Prescott博士 味覚研究者・コンサルタント(オーストラリア) / Eyassu Gethachew Abegaz,博士 ボツワナ農業大学 食品科学技術学部長 (ギャボロン、ボツワナ) / Abiodun Sanni教授 イバダン大学微生物学部 (イバダン、ナイジェリア) / Nnennaya Rosemary Isu教授 アブジャ大学 科学学部 学部長 (アブジャ、ナイジェリア) / 二宮 くみ子博士 特定非営利活動法人うま味インフォメーションセンター理事 (東京、日本)
聴講者 150名
政府関係団体 National Agency for Food Drugs, Administration and Control (NAFDAC) Standards Organization of Nigeria (SON) Food Industry Related People- Representatives of the Association of Food Beverage and Tobacco Employers of Nigeria (AFBTE); Consumer Protection Council of Nigeria (CPC); Representatives from the Federal Ministries of Health, Agriculture, Industries and Women Affairs. Members of the National Council of Women Societies of Nigeria and Women Entrepreneurs of Nigeria, Members of Home Economics Teachers of Nigeria, Staff and Caterers from the training School of National Centre for Women Development, Abuja; Utako traders Association and Abuja Market Management Authority, Executive Chefs from Sheraton Hotels Abuja, Academia and the Media.

2012年6月13日、アブジャシェラトンホテルでナイジェリアで初めてのうま味セミナーが実施され、色彩豊かな民族衣装に身を包んだ女性の方々など国中から150名の方々が参加されました。

開会の祈りののち、WEST AFRICAN SEASONING CO. LTD(WASCO)の出張恵士社長から開会の挨拶がありました。
数か月にわたる準備を経て迎えただけにWASCOの方々の高揚感が伝わるスピーチでした。

次に、オーストラリアのPrescott博士がおいしさの科学:うま味と味の嗜好性についての講演を行い、聴講者は、人がどのように食べ物を味わうか、そして、うま味が私たちの食でいかに大切かを深く認識することができました。ボツワナ農業大学 食品科学技術学部のGethachew Abegaz,博士は MSGの安全性に関する研究成果を報告し、同時にアフリカの食材について、造詣と愛情をもって語りました。

続いてのナイジェリア、イバダン大学微生物学部 AbiodunSanni教授の講演では、同国アブジャ大学の科学学部 学部長Nnennaya Rosemary Isu教授とともに ナイジェリアの発酵食材のうま味について説明がありました。

二宮博士は広範囲にわたるうま味の説明の中で、世界的なシェフたちがうま味に関心を持ち、自分たちの料理にうま味を活かそうとしていることを伝えました。プレスコット博士との協力で生のトマトと三種類のトマトペーストの試食を実施。参加者からはうま味を体感したことで、うま味をさらに深く理解できたと好評でした。

レストランでの昼食の席では、おいしく栄養のあるお料理を食べながら、登壇者と聴講者がうま味についての意見やナイジェリア料理で最も大切とされる、伝統的な調味料;ogiri, daddawaや iruについて語り合いました。

プレスコット博士のテイスティングにより、参加者たちは五番目の基本味であるうま味コンセプトを大変よく理解したと同時に、グルタミン酸ナトリウムについての理解も深めることができました。グルタミン酸ナトリウムはとても安全なうま味調味料であり、料理の味をうまく調和させ、まとめる働きを持つこと、そして、彼らの伝統的な調味料と同じ機能を持っていると納得されました。

この催しは、ナイジェリアの国営放送の夜9時のニュースで放映されました。

シンポジウムで行ったテイスティング

UICオリジナルの2種類の野菜ブイヨンのテイスティング:①塩分0.3%、薄味の生の野菜で作った野菜ブイヨン②そのブイヨンに0.1%のグルタミン酸ナトリウムを加えたもの。①に比べ②はグルタミン酸ナトリウムの純粋なうま味の効果によりまとまりと深みのある味わいとなることが体感できる。

生のトマトのテイスティング:トマトのグルタミン酸のうま味により、うま味の特性・機能―デリケートで持続性があり、唾液分泌を促進することを体感するテイスティング。

2種のトマトペーストのテイスティング:①トマトペーストのみ ②①に魚のブロスを加えたもの。ナイジェリアの煮込み料理では、干し魚がよく使われることから、この2種を食べ比べると、トマトペーストのグルタミン酸のうま味が魚貝のブロスのイノシン酸を加えたことで相乗効果が起こり、うま味が強く感じられることがはっきりとわかるテイスティング。

4つ目は、Red Pesto,と呼ばれるイタリアンタイプのペースト。サンドライドトマトペースト、バジル、ペコリーノチーズ、砕いたカシューナッツ、ガーリック、植物油を混ぜ、クラッカーに載せて供す。参加者は、クラッカーのサクサクした食感とトマト・チーズがもたらすうま味、そして、バジルとガーリックの香りを体感した。このテイスティングによって、私たちの味覚が味と香り、そして食感がうまく関与しあったものということを参加者に実感してもらうことができたといえる。

市場でのナイジェリア食材
市場でのナイジェリア食材
参加者受付風景
参加者受付風景
John Prescott博士
John Prescott博士
Eyassu Getachew Abegaz博士
Eyassu Getachew Abegaz博士
Abiodun Sanni教授 (中央)
Abiodun Sanni教授 (中央)
Nnennaya Rosemary Isu教授
Nnennaya Rosemary Isu教授
二宮くみ子博士
二宮くみ子博士
試食準備中のシェフ
試食準備中のシェフ
Obudu Grill Restaurantでの食事風景
Obudu Grill Restaurantでの食事風景
Obudu Grill Restaurantでの食事風景
Obudu Grill Restaurantでの食事風景