ナンシー・レイエス・ルーメン氏の鶏肉と豚肉のアドボ
- プロのうま味レシピ
2020年08月
アドボは間違いなくフィリピンを代表する最も有名な料理です。フィリピンの味、アドボを広く世界にPRすることが、私の使命だと思っています。 懐かしくて食べると元気が出るフィリピン料理、その最たるものがアドボで、伝統的に”atsara(アトゥサラ)”と呼ばれるグリーンパパイヤの甘酢漬と白米が一緒にサーブされます。ビネガーで煮込むことでほんのり酸味が出ますが、さらにうま味を増すためにしょうゆやココナツミルクを加えることもあります。
フィリピン人はみな食通です。なぜならうま味を取り入れた料理をたくさん食べているからです。フィリピンの有名な作家、ニックホアキンも「私たちフィリピン人は、魚介類と米を中心にした食生活を発展させてきた。発酵した海老や小魚で作られた調味料を使った魚介料理などがそのいい例だ」と述べています。他にも、自然の完熟トマトを皮が反り返るまで加熱することで、さらにそのうま味を引き出した “sofrit(ソフリト)”を色々なお料理のベースに使ったりもします。どこかしら懐かしく食べると元気が出る、それがフィリピン料理なのです。一方、料理の満足度を上げるために、ついついバターや動物性油脂を使う人が多いのも事実ですが、完熟トマトなど、うま味を豊富に含む食品を上手に取り入れることで、料理においしさと香味をもたせることができ、油分の使用を控え、摂取カロリーを減らすことができます。いわゆる、不健康な食事に偏ることなく満足度が得られるお料理が作れるーこれはとくに現代の食生活に大切なことです。
▪︎材料(4人分)
- 鶏肉(食べやすい大きさに切ったもの)...250g
- 豚肉(皮付きを角切りに)...250g
- ローリエ...1枚
- にんにく(みじん切りに)...50g
- こしょう(粗挽き)...小さじ2
- 水...160㎖
- ココナッツビネガー 又はサイダービネガー...大さじ4
- 醤油...大さじ2
- 岩塩...小さじ2
- アナットオイル...大さじ1/2
*アナット・シード・・・60g
和名「ベニノキ」の種子。主に南米、南アジアの料理に使われるスパイス。かすかな甘味と刺激が特徴。
▪︎作り方
<アナットオイル >
- 1. コーン・オイルを鍋に入れ、高温になるまで加熱する。
- 2. 十分、温度が上がったら火から下ろし、アナット・シードを加える。
- 3. アナット・シードの色がオイルに移り、オイルがオレンジ色に染まったら、シードを取り除く。
- 4. ガラスの耐熱容器に移し、保存する。
<鶏肉と豚肉のアドボ>
- 1. 醤油とビネガーを合わせた漬け汁に鶏肉と豚肉を入れ、30〜60分間おく。
- 2. 1と残りの材料を、すべて鍋に入れ、蓋をして中火にかける。
- 3. 煮立ったら火を弱め、蓋をしたまま、とろ火でさらに煮る。
- 4. 肉にほぼ火が通り柔らかなくなったら、アナットオイルを加え、さらに煮詰めてゆく(約45分)。
- 5. 最後に、お好みで揚げたにんにくを散らし、出来上がり。
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※このレシピは、うま味インフォメーションセンターの出版物「FILIPINO - UMAMI world recipe Vol.4」に掲載されています。
< プロフィール >
ナンシー・レイエス・ルーメン
フードライター/批評家として、テレビ番組の司会やラジオ封パーソナリティとして、また、携帯メールへの毎日の料理メモの配信コンテンツ制作など、様々なメディアを通じ活躍しているナンシーレイエス封ルーメン氏。 フィリピン国内における栄養所要量と食品に関する知識の普及、また、フィリピン料理を広く世界の国々にPRするための様々な活動にも携わっている。一方、家庭料理の重要度にも着目し、自然にやさしいゴミの少ない調理方法の実践などにも取り組んでいる。2008年1月には、フィリピンで開催されたうま味インフォメーションセンター主催イベント「フィリピン マニラ うま味シンポジウム」でゲストスピーカーをつとめ、うま味を多く含む調味料や料理をよく知ることによって、栄養バランスの取れた食事が実践でき、肥満の予防や減少に貢献できるとの興味深い講演を行った。また、数々の料理関係の著書を持つ彼女は、この度、刊行される「FILIPINO - UMAMI world recipe Vol.4」のレシピコンサルタントも担当している。