「湯島山緑泉寺」の青江覚峰住職 VOL.1
- 湯島山緑泉寺住職 青江覚峰
2023年02月
植物由来の材料でつくられた料理や食品のことをプラントベースフードと言いますが、これを一層おいしく食べるための、ひとつのポイントが「うま味」です。うま味を上手に活用することで植物由来の材料がとびきりおいしい料理になります。
今回はお寺の食事を通じて仏教をひろく伝える『料理僧』、浄土真宗東本願寺派、湯島山緑泉寺住職の青江覚峰(かくほう)さんにお話をうかがいました。
お寺の二代目として生まれたことへの問いから、カリフォルニア州立大学にてMBAを取得し米国で就業。ビジネスが好調になった頃、目の前で9.11(アメリカ同時多発テロ)が起き、いったい自分に何ができるのだろうかと立ち止まったそうです。その後、帰国し、仏教の道を歩み始めたそうです。もっと仏教を身近に感じて欲しいとの思からうまれた考えが『料理僧』でした。人が生きるために1番多くすることが呼吸、2番目が食べること。人間にとって食べることは大切な営みであり、食を通して仏教の教えを伝える『料理僧』の活動は、あらゆる方面にひろがっています。
そのひとつが青江さんの著書である料理本「お寺ごはん」「西洋お寺ごはん」。お寺のごはんと言えば精進料理で、動物性のものや五葷と言われる玉ねぎやネギ、ニラ、ニンニクなどは使いません。だしは昆布と椎茸が基本ですが、干し野菜や大豆などからもとります。
「大豆だしはうま味であるグルタミン酸も多いので甘みがすごくふくよかです。大豆をフライパンで煎るときに焦げていくので香ばしくなります。その香ばしさは満足度につながるのです。例えばベビーコーンを皮ごと焼いた時の香ばしさを活かしたり、スパイスを加えて少しパンチを出したりもします」。
そこで、大豆だしと干し野菜だしのレシピを教えてもらいました(「西洋お寺ごはん」 /ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
■大豆だし
<材料>
大豆 150g、水 1L (大豆にもよりますが、この量で大豆だしが2カップほどできます)
<作り方>
大豆をフライパンに入れ、中火にかける。常にフライパンをあおり続け、大豆の音がカラカラ→コロコロ→カラカラとなったら、沸騰し火を止めたばかりの湯に少しずつ入れ、半日おく。
■干し野菜だし
<材料>
干し野菜 10g、水 2カップ(つくりやすい分量で)
<作り方>
料理で余った野菜や野菜の皮をせん切りにし、ザルに重ならないように広げ、日当たりと風通しのよい場所に一昼夜おく。1カップの水に対して5gの干し野菜を目安に入れ、20分ほどおく。
出汁をとったあとの野菜はがんもどきの材料になります。そのお話は、VOL.2をご覧ください