PLANT BASED ✕ UMAMI

「菊乃井」の村田吉弘シェフ VOL.1

  • 菊乃井 村田吉弘

植物由来の材料でつくられた料理や食品のことをプラントベースフードと言いますが、これを一層おいしく食べるための、ひとつのポイントが「うま味」です。うま味を上手に活用することで植物由来の材料がとびきりおいしい料理になります。

今回は日本料理界を率いる中心人物であり、「和食」のユネスコ無形文化財登録を成功させた功労者でもある、「菊乃井」の村田吉弘シェフにお話をうかがいました。

渡仏がきっかけで、正しい日本料理を世界に普及させることが信念となり、1993年に京都「菊乃井」の三代目当主になられました。東京にある「赤坂 菊乃井」は京都より少しカジュアルというものの、道路から玄関までつながる石畳を歩けば、これからいただくであろう料理へのワクワク感が自然に高まります。

日本料理の基本は昆布とかつおの出汁ですが、プラントベースの場合は?と村田シェフ尋ねてみました。
最初にかえってきた言葉は「日本料理には精進料理がありますから」。 「SDGsに一番かなう料理、CO2の排出量が一番少ない料理は日本料理です。ハラルの対応も、ベジタリアンの対応も難しいことではありません。それは日本の料理が、もともと、うま味中心の料理で構成してきたからです。椎茸と昆布で精進料理の出汁は引けますし、煎った大豆や、干瓢(かんぴょう)や切干の大根も。そこにうま味があって、おいしい出汁を引くことができます」。

早速、プラントベースで炊かれたお料理をいただいてみました。筍とわかめ、菜の花を炊いたものに木の芽が添えてあります。お出汁は椎茸と昆布で、とてもおいしいです。特に印象的だったのは「香り」。素材そのものの香りが口の中にひろがり、日本のハーブと呼ばれる木の芽のやさしい風味を楽しむことができました。

プラントベースの料理は香りも重要

やはり出汁は大切ですね!と村田シェフに言いましたら、意外にも「出汁はオールマイティではないですよ」というお返事。

その理由は、VOL.2でお話しましょう。

筍ごはんにも木の芽の香りを添えて

「菊乃井」の村田吉弘シェフ VOL.2

「菊乃井」の村田吉弘シェフ VOL.3