長崎県の郷土料理「さらさ汁」をご紹介します。380年の伝統があり、諏訪神社の秋季大祭として長崎の町を挙げて行われるお祭り「長崎くんち」。この期間は、「くんち料理」と呼ばれる独特のハレの日の料理が市民に受け継がれています。 一般的に、小豆ご飯、煮しめ、ざくろなます、甘酒といった品々とともに用意されるのが「さらさ汁」です。かまぼこの紅色、ちくわや豆腐の白、小ねぎの緑で3色の色合いを演出し、白味噌仕立てでやさしい味わいに仕上げます。 「さらさ」とはジャワ語のsarasaが語源で「更紗」と書き、「まんべんなく散布した」の意味。江戸時代、長崎の出島では様々な色や文様で染められたインド更紗の染織品が重要な交易品の一つであったことから、食材で色を散らした「さらさ汁」の名前の由来になったといわれています。
一つのお椀に色とりどりの食材が入ったさらさ汁がよそわれた様子は、まさしく祭りの場面にぴったりですね。日本人の食事に欠かせない出汁のうま味は、食材の色どりとともに味わいを引き立てます。