「美酒鍋」の発祥は、酒蔵の町として知られる東広島市西条地域。以前は「びしょ鍋」と呼ばれていました。もともとは蔵人のまかない料理として食べられていたそうです。日々の水仕事で常に着物が「びしょ濡れ」だったことから、蔵人のことを「びしょ」と呼んでいたことに由来します。 酒造りの仕事は体力勝負。若い蔵人たちにおいしく手軽に栄養を摂ってもらうため、当時は貴重なタンパク質源だった鶏肉を余すところなく活用し、白菜をはじめ様々な野菜を具材に入れ、日本酒と塩・こしょうだけで炒り煮にしてふるまわれていたといいます。シンプルな味付けなのは、利き酒に影響のないようにするため。溶き卵につけて食べるのも一般的で、“酒と塩で作るすき焼き”のようでもあります。 日本酒と鶏肉、野菜などの素材本来のうま味を楽しめる料理です。
鶏肉は他の肉に比べてイノシン酸が多いのが特徴です。たっぷり加えた野菜のグルタミン酸、そして、日本酒に含まれている様々なアミノ酸が深みのある味わいを出してくれます。