日本の 郷土料理と うま味
広島県 の郷土料理

美酒鍋

美酒鍋

「美酒鍋」の発祥は、酒蔵の町として知られる東広島市西条地域。以前は「びしょ鍋」と呼ばれていました。もともとは蔵人のまかない料理として食べられていたそうです。日々の水仕事で常に着物が「びしょ濡れ」だったことから、蔵人のことを「びしょ」と呼んでいたことに由来します。 酒造りの仕事は体力勝負。若い蔵人たちにおいしく手軽に栄養を摂ってもらうため、当時は貴重なタンパク質源だった鶏肉を余すところなく活用し、白菜をはじめ様々な野菜を具材に入れ、日本酒と塩・こしょうだけで炒り煮にしてふるまわれていたといいます。シンプルな味付けなのは、利き酒に影響のないようにするため。溶き卵につけて食べるのも一般的で、“酒と塩で作るすき焼き”のようでもあります。 日本酒と鶏肉、野菜などの素材本来のうま味を楽しめる料理です。

鶏肉は他の肉に比べてイノシン酸が多いのが特徴です。たっぷり加えた野菜のグルタミン酸、そして、日本酒に含まれている様々なアミノ酸が深みのある味わいを出してくれます。

材料

(4人分)
・豚バラ薄切り肉 400g
・鶏むね肉 1枚
・砂肝 200g
・白ねぎ 2本
・白菜 1/2株
・玉ねぎ 1個
・ピーマン 4個
・にんじん 1本
・しいたけ 4枚
・こんにゃく 1枚
・厚揚げ 1枚
・にんにく 2片
・清酒 500ml
・塩 適量
・こしょう 適量
・サラダ油 少量

つくり方

① こんにゃくはひと口大に切って下ゆでしておく。にんにくはスライスする。その他の具材は食べやすいようにひと口大に切る。

② 鍋にサラダ油少量とにんにくを入れて弱火で加熱し、香りがたったら豚バラ肉を加えて中火で炒める。豚バラ肉の脂が出てきたら鶏むね肉と砂肝を加え、塩・こしょうをして炒める。

 その他の具材を火の通りにくいものから適量を加えていき(全部は入れない)、塩・こしょうをしてから白菜でふたをする。日本酒を具材が浸らない程度に注ぎ入れ、強火にして炒め煮にする。

 水分が飛び、野菜がしんなりしたら出来上がり。

POINT

  • 一度に全部の具材で作るのではなく、食べ終わってから再度残りの具材で作るのがおすすめです。
  • こしょうはたっぷり入れると美味しさが引き立ちます。
  • 途中、焦げつきそうになったら清酒を加えますが、煮込むのではなく炒め煮にします。
  • ④の過程で試食して、味が薄かったら塩・こしょうを加え、味が濃ければ清酒を加えて調整します。
  • お好みで溶き卵につけてお召し上がりください。