一番だしは、昆布だしをベースにし、さらにかつお節を加えて作ります。昆布からのうま味(グルタミン酸とアスパラギン酸)に加え、かつお節由来のうま味(グルタミン酸と核酸系のうま味成分のイノシン酸)が加わります。
かつお節の香りと風味が加わり、うま味が強く味がしっかりとしています。料亭などではかつお節のかわりにまぐろ節を使うところもあります。
一番だしで使用した昆布とかつお節に一番だしの約半量の水を加え、ゆっくりと煮出すのが一般的です。しっかりとしたうま味があり、煮物や味噌汁に適しただしがとれます。
精進料理のだしをとる場合には、主に昆布を使う。魚や肉の類が禁止されているため、鰹節や獣骨などは使うことができない。
昆布のほかには、干椎茸や大豆、干瓢などの乾物、あるいは野菜の皮を干したものを使用する。中でも、干椎茸はうま味と香りが濃厚だが、反面クセが強いため、多く使いすぎると味のバランスを壊してしまうので注意したい。
昆布だしと一番だしのうま味成分(京都の料亭)
京都の老舗料亭の昆布だしと一番だしの中に含まれるうま味成分です。昆布だしの中には昆布のうま味成分であるアミノ酸の一種のグルタミン酸のみですが、一番だし中にはそのグルタミン酸とかつお節からの核酸系のうま味物質のイノシン酸がほぼ等量含まれています。
昆布だしと一番だしのうま味の強さ模式図(京都の料亭)
昆布だしと一番だしのうま味の強さを比べた模式図です。昆布だしはアミノ酸の一種のグルタミン酸のうま味ですが、一番だしではグルタミン酸と核酸系のイノシン酸とでうま味の相乗効果が起こり、実際のうま味物質の濃度の7~8倍にも強く感じられます。うま味の相乗効果は、グルタミン酸とイノシン酸がほぼ等量の時に最も強くなるという研究結果もあり、この京都の老舗料亭の一番だしは非常に理にかなっただしといえるでしょう。
昆布だしと一番だしのうま味成分を比べてみると、一番だしのうま味成分は、昆布だしの約2倍含まれています。
ところが、実際に2つのだしを味わってみると一番だしの方が昆布だしよりも倍どころではなく、グーンと何倍も強くうま味を感じます。これが「うま味」の相乗効果と言われているものです。アミノ酸系のうま味と核酸系のうま味は、足し算ではなく掛け算のように味を強めあいます。
また、この相乗効果は、グルタミン酸とイノシン酸の濃さが等しい時が一番効果を発揮するという研究結果もあります。
昆布は北海道を中心に東北地方の一部にかけて収穫されますが、産地によって形状や味の質、うま味の強さが異なります。昆布はうま味成分であるグルタミン酸ナトリウムを最も多く含む食材のひとつです。うま味インフォメーションセンターでは水出し法、煮出し法の何れかの方法で昆布だしを作ります。
煮出し法
煮出し法
このだしは一番だしと呼ばれ、お吸い物や蒸し物など上品な料理向き。一番だしはかつおの香りが命。作ったらすぐに使いましょう。また、一番だしで使った昆布と削り節を再び約半量の300㎖の水に入れ、2~3分沸騰させてこすと二番だしの出来上がり。こちらは味噌汁や煮物などに向いています。
※煮干しだしのみでの使用の他、昆布だしと合わせる使い方もあります。